光工学研究室

 

 自由空間を伝播する光を利用する光学素子やシステムの設計・評価・解析等を行なっています。

 

 私達の身の回りには、眼鏡,カメラ,望遠鏡,顕微鏡など、たくさんの光学機器があります。また,オーディオやコンピュータ機器の中でも光は使われています。従来、このような場で使われてきた光学素子は、球面形状をしたレンズなど、光の屈折を利用したものが大半でした。これに対して、光の回折現象を利用する素子として、回折光学素子(diffractive optical elements: DOEs)と呼ばれるものがあり、その任意波面生成・機能複合化・小型軽量などの特徴のゆえに、近年、脚光を浴びています。私のグループでは、この回折光学素子に関する研究を中心に行なっており、現在は回折光学素子に対する電磁理論的な取り組みに注力しています。

 

 1996年11月より、時間領域差分法 (Finite-Difference Time-Domain method: FDTD 法) を用いて、使用する光の波長と同程度の周期を有する回折格子の数値解析を行なっています。このような回折格子は一般に resonance-domain の格子などと呼ばれ、波長・屈折率・周期・深さのわずかな変化により回折効率が大きく変動するため、スカラー回折理論やフーリエ光学ではその振る舞いを説明することが出来ません。そのため、ベクトル回折理論を使用する必要があります。誘電体ラメラー格子に対して計算を行ない、典型的な周波数領域の解析法であるフーリエ展開法と大差ない値が得られることを確認しています。

 

 1997年末より、フェムト秒パルス光の回折現象を FDTD 法を用いて解析するテーマを開始しました。また、並行して、モード同期チタンサファイアレーザー(中心波長 800 nm, FWHM パルス幅 100 fs,繰り返し周波数 75 MHz)を用いた実験を工業技術院計量研究所量子部光計測研究室と共同で行なっています。

 

 1999年度より、(財)大阪科学技術センターの運営する科学技術庁プロジェクトの大阪府地域結集型共同研究事業『テラ光情報基盤技術開発』に参加しています。

 

 2003年度より、大阪府立大学と共同で、電気光学効果を用いた導波モード共鳴格子フィルターの光学特性の動的操作を目指した研究をスタートしています

 

 研究活動の舞台は国内では応用物理学会とその分科会である日本光学会、国外ではヨーロッパ光学会(European Optical Society)とアメリカ光学会(Optical Society of America)です。